こども事故防止情報

今回は日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会が出しているInjury Alert(傷害注意速報)から、特に重要と思われるケースをいくつかご紹介致します。

スーパーボールによる
窒息事故

◆ケース1

3歳男児。自宅で口の中にスーパーボール(35mm径)を2つ入れて遊んでいた。気づいた母親が「危ないからボールを口から出しなさい」と叱ったところ,驚いて2つのうちの1つを吸い込み窒息状態となる。母親が口の中に指を入れて摘出しようとしたが取り出せず、救急隊を要請。救命救急センターで喉頭に詰まったスーパーボールを摘出後、心肺蘇生にて心拍は再開したが,意識の回復はみられず6か月後に死亡。

◆ケース2

1歳8ヶ月女児。自宅でスーパーボール(直径20mm)を飲み込んで窒息。母は夕食後の片づけで台所にいて、「オエッ」という声が聞こえて患児をみたところ努力呼吸をしていた。母が指を入れて摘出を試みたが摘出できず、救急搬送。人工呼吸管理を行ったが5日目に死亡。

◆コメント

3歳児の最大開口口径の平均値は39mmであり、それ以下の大きさのスーパーボールは口腔内に入りうるため危険です。スーパーボールは丸くて表面がつるつるしている上に弾力があり、のどに入り込むと取り出すことは非常に困難です。子供に与えるスーパーボールは直径45mm 以上の物にして下さい。

タブレット型
哺乳瓶消毒剤による誤嚥事故

9か月男児。 姉が台所にあった消毒剤の封を切って錠剤を出し、それを本児の口腔内に入れた。その後呼吸困難となり近医入院。呼吸状態は軽快し、経口摂取も良好となったため一旦退院。 2週間後に再度呼吸が苦しくなり、喉頭ファイバーにて下咽頭・喉頭部の狭窄を認めたため、総合病院に緊急入院し緊急手術を施行(気管切開術、食道バルン拡張術)。その後胃を造設し胃からの栄養注入を開始。現在、胃は閉じたが気管切開は残存。

◆コメント

哺乳瓶消毒剤は強アルカリであり、誤飲すると重篤な粘膜障害を引き起こします。絶対に子供の手の届く所には置かないようにして下さい。

浴槽用浮き輪による
溺水事故

9か月男児 。母が洗髪中、患児はオムツ型の浮き輪に座らされ足はついていない状態で浴槽内に浮かんでいた。母が患児の声がしないのに気づいて確認したところ、患児は浮き輪からはずれ、うつ伏せで浴槽に浮かんでいた。すぐに浴槽より引き上げたところ息をしておらず、顔色不良のため人工呼吸を行い救急車で搬送。

◆コメント

浴槽用浮き輪は子どもの動きにより容易に転倒します。そしていったん転倒すると元の位置に戻ることができず溺れる可能性が高い製品ですので使用しないで下さい。

自転車用ヘルメットによる
雲梯(うんてい)での窒息事故

6歳女児。ヘルメットをかぶり、うんていの上部にのぼって遊んでいたところ、足を滑らせて、うんてい棒の間に落下。ヘルメットが鉄棒と鉄棒の間(幅17.5cm)にひっかかり、顎紐で宙吊りになった。友人が周囲の大人に助けを求め、近所の人により窒息は解除された。救急隊到着時心肺停止状態のため、直ちに心肺蘇生術が施行された。

◆コメント

うんていの鉄棒と鉄棒の間隔は23cm以上の距離が必要(国土交通省の遊具ガイドライン2008 年)ですが、今回の事例では基準値以下でした。遊具が古い場合には、現在の規準に照らし合わせて再チェックする必要があります。公園でヘルメットをかぶったまま遊んでいる子どもを見たら、はずすよう指導して下さい。